STARTPAGE(133ch)Backnumber 19970620 by J.Taniguchi

高速道路の不便さ

「時間を買う」という意味では便利な高速道路ですが,オートバイにとってとても不便なことが少なくても2つあります。でも,これはオートバイに縁のない人で知っている人がとても少ないようなので,この際,ぜひ頭の隅っこに置いといてもらって高速道路をクルマで走るときに思い出してもらえるとありがたいんです。

(1)二人乗りできない
街中では5人乗っていい乗用車が,高速道路に入るときは助手席と後ろの席は危ないから乗車禁止。高速道路乗るときはドライバー一人だけね!なんて言われたら誰だって「そんな〜!」と文句言うと思います。でも,オートバイの世界では信じられないことにそれと同じことが当たり前に行われているんですよ。

具体的にいうと,ちゃんと2人乗り用のシートがあって車検証に「乗車定員2人」と明記してあっても高速道路では後ろに人を乗せて走れないんです。どうりで高速道路は2人乗りしているオートバイを見かけないわけですね,なんて感心している場合ではないですよ(笑)。しかし,車検証にも明記してある(ということは運輸省,つまり国が認めた)乗車定員が高速道路上で認められないというのはどう考えてもおかしいと思いませんか?

(2)クルマと一緒に走れない
オートバイの制限速度が最大で80km/hなんです。ちなみに普通乗用車は最大100km/hですが,オートバイに乗らない方も,一度,クルマで高速道路を80km/hぴったりで走ってみて下さい。そうすればこれがどんなに危ないことなのかわかると思います。深夜の東名高速道路あたりでやってみると相当スリルを味わえることうけあいです。

で,ここでの問題は,もうおわかりかと思いますけど「80km/hという速度そのもの」ではなくて「オートバイと乗用車などとの速度差」があることです。これだけクルマの量が増えてしまうと,高速道路では交通の流れを乱さないこと,これが安全への重要なポイントになります。でも,今のままでは法律を守ると安全に走れない!というわけで,この速度差はぜひなくしてもらいたい。

日本に初めて高速道路ができた昭和30年代終わり頃のオートバイの性能をもとに決められた制限速度が今でも適用されていること自体ナンセンスと思うのですが,クルマの流れに乗って走っているだけで切符を切られかねないんでは「オートバイは楽しい!」どころではないわけです。

追記:上記内容は1997年6月の状況をもとにまとめたものです。速度制限について2000年10月施行の道交法改正で100km/hに改められました。二人乗りについては2005年4月の道交法改正で条件付きながら解禁になりました。

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